カカシから離れ、里のほうへと足を向けた。
「貴様達はどうする?此処にいるか、妾と共に里の終を見るか。選ばせてやろう。」
化け物なんかじゃ・・・3
九尾はアスマ達を殺す気など無かった。
ナルトを大切に護ってくれた人を殺すなど、恩を仇で返すことはしない。
それこそ里人と同じになってしまうから・・・・・と。
「死ぬ道は選ばせてくれねぇのか?」
「戯言をぬかすでない。死にたければ妾達が立ち去った後にしてもらおう。それまで死ぬことは許さぬ。」
継げた言葉に、アスマは声高らかに笑った。
目は離さず、口元だけをゆがめて。
「上等だ。死のうなんざこれっぽっちも思っちゃいねぇ。最後までナルトの傍についてくぜ。」
タバコを投げ捨て言い切った。
アスマもカカシ同様、里になど未練が無かった。
「猝はどうする?」
「私だって、こんな里要らないわ。ナルトの傍で生きる。」
九尾は満足そうに笑って頷いた。
ナルトを紅に預け、数歩前に出た。
「ついて来たくば来い。此処に残るのも一つじゃ。」
目を瞑って腕を広げると、周りの木々達がざわめきだす。
お互いに会話するように、大きく小さく。
目を開けると、青かった目が深紅に染まっていた。
全てを見透かすような息苦しさを持っている。
そして、徐々に髪が伸び始め爪が尖り犬歯が大きくなる。
俯いた顔を勢い良く上げたと同時に、強い光が九尾を包んだ。
余りの眩しさに、二人は目を瞑った。
その間は何が起こったかわからない。
目を開けると13年前、木の葉を襲った九尾が威風堂々と構えていた。
9本の立派な尾を振り乱して、辺りの木々をなぎ倒してゆく。
里の人間を呼び出すにはコレが一番だと知っているように、チャクラを里にめがけて放った。
「グアァァァァァァ!!!」
空高く声を轟かせた。
まるで、里潰しを宣言するかのように。
強い風が辺りに吹き込んだ。
それを合図とするかのように、九尾は走って行った。
一瞬にして見えなくなった。
「アスマ、あんたどうすんの?」
「俺は、行かねぇよ。もしも此処でナルトに何かあってみろ。九尾に八つ裂きにされんぞ。」
そうね、と笑ってカカシの隣に座った。
「カカシ、あんたにいいトコ取られっぱなしだったわね。」
「ホントにな。ナルトの中にいるなんて羨ましすぎんぜ、この野郎。」
アスマがカカシの頭を軽く叩いた。
「もう、言い争えないなんて、寂しいじゃないさ。バカカシ。」
一筋だけ、涙が頬を伝った。
里は炎上し、熱風と共に血生臭が鼻を突いた。
人々は嘆き、絶望し、身の内に掬う醜さが周囲を埋め尽くす。
愉快じゃ、コレほどまで醜く、汚らしいモノだとは思っても見なかったぞ。
刃を見せながら人間達を蹴散らしあざ笑う。
コレが酷い仕打ちだと言えるのか?
実の仔を殺され、ナルトまで自殺に追い込んだ里を許せるほど
九尾に広い心は無い。
暴れ周り、全てを無くすまでこの笑は止まらぬだろう。
「九尾よ!やめてくれ!!!!!お主はナルトの中へ居たはずじゃ!!!!なぜ此処にいることが出来る!!!!!!」
あらん限りの声を張り上げて、三代目が九尾に話しかける。
踵を返して、三代目を見て口を開いた。
「なぜかと問うたな。簡単なこと、ナルトが妾を解き放ち命を絶ったからじゃ。」
「な!!」
「嘘だと思うかえ?本当の事じゃ。しかし、カカシという小僧が、自らの命と引き換えにナルトの魂を繋ぎとめてくれた。
今はかろうじて生きているに過ぎぬがの。ナルトの恩人が望んだのじゃ。里の壊滅をと。
師が守った里だろうが、あの仔がいなければ意味を持たぬといってのぉ。」
ぶわっと風が吹いて、一つの集落が消し飛んだ。
尾を持ち上げながら、尚も話は続いた。
「邪魔してくれるなよ?そなたはナルトにナニをしてやった?何も出来なかったではないか。
どんなに辛い迫害を受けようとも、すまぬと言うだけで何の処分すらもしなかった。
言い訳をしようとも妾は許さぬ!!死を持って償うと良い!!!!!!!!!!」
そういって、九尾は消えた。
里がどうなったかは、風の便りで聞くことが出来るだろう。
「九連―!紅姉ちゃん!アスマ兄ちゃん!早くってばよーーーーー!!!!!」
あれからどれくらいの歳月が経ったのだろう。
子供らしかった丸い顔はシャープになり、身長もグンと伸びた。
顔の左右にあった三本の痣は無くなり、その代わり髪の毛の色が変わった。
お日様のように明るかった金髪に銀の毛が混ざっている。
カカシの魂を繋ぎとして使ったため、こういった影響が出るらしい。
あの頃の記憶は一切無い。
あるのは、此処にきてアスマと紅と九連(九尾)と生活していることから。
愛されてすくすくと成長をし続けるナルトに、自然と笑みがこぼれる。
え?カカシ先生の記憶?皆には無いって言ってるよ。
当然ジャン。皆も何にも触れないから、俺も何にも言わないんだよ?
でも、此処だけの話。
俺、先生の記憶ちゃんと持ってるんだってばよ。
先生が俺の中にいるから、自然に頭の中に入ってくる。
それに、たまに声も聞こえるから。
ありがとう、皆。
バイバイ、昔の自分。
無理やりの簡潔です。
これ以上やっていたら、多分死んでいたでしょう(ハハハハ)
最終設定は、ナルト君16歳です。
2005/05/04