然程走らないうちに一つの扉が出てきた。
そこには立て札がしてあり、
【この扉の向こうには、大量殺人者が潜んでいる。生きて通過することができるか!】
と掻いてある。


は、無表情のまま銃口を向けて引き金を引いた。

鉄片が風に乗り部屋の中心まで吹き飛んだ。
ガン!と鈍い音が響いてにわかに明るくなった。



















【通過】























真ん中に一人の男が胡坐を掻いて偉そうに座っていた。
のことを目を細めて確認すると立ち上がって咳払いをした。
ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべながらゆっくりと近づく。




しかし、の顔をしっかりと確認すると顔を青くして23歩後ずさった。

と共に前に進み出る。
その度に男からは情けない声が上がる。


男をじっと見つめ、昔の記憶をたどった。
眉間に皺を寄せ考えた。




「た・・・・頼む!助けてくれ!!・・・此処できちんと反省してるんだ!!お願いだ!殺さないでくれ!!」



声を聞いて思い出した。
少し前に世間を騒がせた大量殺人犯。
その時に舞い込んできた仕事が、こいつを捕らえることだった。
生死は問わないとなんとも遣り易い仕事だったのを覚えている。



「あぁ、あん時の馬鹿男かぁ・・・・へぇ〜、俺を試せる立場になったのか・・・えらく出世したもんだな。」

「違うんです!ここの服役囚全員が借り出されているんです!!お願いします!命だけは!!」





捕まえたとき、一応命だけは助けておいて裁判にかけようとしたため
死なない程度になら・・・・とかなり無茶をさせた。


此処から先は自己規制。












まぁ、あれだけ遣って死ななかったこいつの悪運の強さもたいしたものだろう。
そんなわけで、の顔を見ると今でも拒否反応が起こる。
しかしとて受験生。
指示を勝手に曲げるわけには行かない。
一応確認を取るかとカメラのほうを見上げた。





「なぁ、モニターの前にいるだろうチッコイ目つきの悪いモヒカン!」




モニターの前では、ほかの試験管が笑い転げ
本人は言葉に詰まってをモニター越しに睨みつけていた。





『な・・・・なんだ・・・。』


「あのさぁ・・・最初に全てなぎ払えって書いてあったんだけどさ、この状態でも戦えって事?」

『う〜む・・・・まぁ、気絶くらいさせれば、通過で良いだろう。』


「あ、そう?だったら、楽勝。」




一瞬にして服役囚の後ろに回って手刀で気絶させた。
男は何があったか判らないまま、気を失ったに違いない。

同時にもう片方の扉が開いて、大量の人間が流れ込んできた。
ここで借り出されていると言うことは、結構な罪を犯した者であることがわかる。
いかにもうざそうに一瞥して、腰に入れていた銃を取り出して
引き金を引いていった。
急所は避け肩や耳、足を重点的に狙う。
しかし、中には受け付けないヤツもいる。
そんなときには、容赦なく全身穴だらけにした。

それを10秒という驚異的な短時間で片付けた。
モニターの前にいた試験管は何が起きたか判らず、ポカンと口を開けていた。
ただ、モヒカンだけはクツクツと笑った。






『相変わらず強いな。』

「お褒めの言葉痛み入ります・・・・さっさと扉開けろ。」







ズズズズと石同士のこすれあう音がして、扉が開いた。





扉の前に立って、思い出したように声を出し
カメラの方に向き直った。



「おい・・・・・・・覚悟しとけよ・・・・。」




この道のあり方が気に入らないは、目を据わらせ睨み付けながら
死の宣告をした。
逃がすまいと、脅しも掛けた。

試験管は、冷や汗を流し白めを剥いて気絶した。



































「・・・・、あれは遣りすぎではないか?」

走りながらに話しかける。
走りながらといっても、常人には風が通ったようにしか思えないくらいの速さだ。


「あ?まだまだ温いぜ。イルミより遅かったなんて知られたら、キキョウからまた誘われる!!!!」
「・・・・・そんなに、嫌か?」


おぞましい!とでも言うように、身震いをさせる。
は、呆れてため息をついた。






「ほ〜、は俺が、ゾル家の嫁になっても良いというわけか?」

目を据わらせて、感情を入れずに睨んだ。
殺気を込めても恐いが、感情が篭っていない目は、別の意味で恐い。


「い・・・・・いや、別にそんなことを言っている訳じゃない。ただ、の事を認めてくれる人は多いに超したことはないぞ?」

「・・・・そうだけどさ。仲間なら申し分ないくらいいい人たちだけど、嫁ってのが気にいらねぇ・・・っ!・・。」




たちは同時に地を蹴った。
今居たところには、数発の弾痕があった。




「いや〜、お兄さん達凄いね。僕の銃をかわすなんてv」




出てきたのは、一人の子供。
13
4くらいだろうか、幼さが残る。


「お兄さん達凄いね。此処まで1時間も掛からないで来るなんて。」


本当に楽しそうに、ケタケタと笑いながら話す。
その笑顔を見ると、心がえぐられるように苦しくなる。
図太いどころではないの精神でも、少々負担となった。



「・・・・・・・・お兄さん、お兄さんじゃなくてお姉さんだったんだぁ〜。ゴメンね、間違っちゃったv」


急に笑い止むと、目を細めながらそう告げた。
そして、こんな子供が知るはずもないことさえも口ずさんだ。


「へ〜、お姉さんって人間と悪魔のハーフなんだ〜。凄いねv初めて見たよ。いたんだね、悪魔って。」

の心臓が早鐘を打つ。
息切れを起こしそうになるが、大きく息を吐き出し落ち着かせた。


「・・・・おい、餓鬼。てめぇ、何モンだ。なぜ俺のことを知ってる。」

「嫌だなぁ、餓鬼だなんてvこれでもお姉さんよりも長く生きてるんだよ?」

「何?」

「僕の一族は年をとるのが遅くてね。お姉さん達の10年が僕らの1年なんだ。だから僕は140歳なんだよ。」

胡散臭げに見ていたが、が横から口を挟んだ。


「小僧、お前も人間じゃねぇな。それも人間の血なんてこれっぽっちも入っていやしねぇ。純粋な種族だろう?」

口角を持ち上げて、へと向き直った。

「さすがケルベロス。鼻が利くんだね。そうさ、僕は人間じゃない。コレでも族の長の息子なんだ。」


族だと!!?」


の顔色が変わった。
人間であれば、冷や汗を流していたことだろう。



、知ってんのか?」

「・・・・・・・・知ってるも何も・・・・昔、魔族とまともに戦うことの出来た、人間界唯一の種族だ。」

「僕はその時はまだ生まれていなかったから、話だけしか知らないんだ。それに、御伽噺だと思ってたし。」



の長の息子は壁に寄りかかりながら、銃を手入れしながら
話をしてきた。
族と魔族の戦いについて。
あの笑みを浮かべながら。





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久々のUPです。
久々なのに、半端でごめんなさい。
めちゃオリジです。
この話、あとどれくらい続くのかなぁ・・・・・・・・。



2005/04/09