俺は小さいころから、このの血のお陰でずいぶんな事をされてきた。
何でも俺の血は今までで、一番色濃くなってしまったそうで、10歳から毎日、毎日親から殺されかけた。
俺の生まれた家は先祖代々門番をしていた。
只の門番だったなら、どうって事なかったんだろうが
不幸にも地獄の門と呼ばれる門を守っていた。
世間一般には知られることは無い、この世の要。
そこが開けば、この世は終わる。
そんな事を、毎日聞かせれていた。
地獄のケルベロス
この門を守るのは男の役目。
しかも、掟かなんかで子供は一人だけって決まっていた。
そんな無茶なって思うだろ?
けど、本当にこの家は男しか生まれなかったんだ。
家計図を見て驚いた。
初代門番より、俺の父親の代、つまりは19代門番まですべて男だった。
俺は禁忌に近い子供だったんだ。
しかも、皮肉なことにの血を色濃く反映してしまった。
この家にしか伝わらない秘術をいとも簡単に成し遂げてしまった。
こんなことは初めてで、危険な子として扱われるようになった。
男しか継げない、それなのに女。
血を色濃く継いだ危険な子。
掟を変えては?との声も出てきた。
門番としてなら、初代さまよりもすごい力の持ち主となっている。と
しかし、掟は変わらなかった。
9歳までは普通の子として教育を受け、門番になるべく修行をさせられた。
しかし、10歳の誕生日の日最悪のプレゼントを貰った。
ナイフを振りかざして襲ってくる母親、銃で狙ってくる父親。
術で殺そうとする祖父。
食事に毒を盛った祖母。
これが、俺の最後のバースデープレゼント。
そして、家族で祝う最後の誕生日。
それからは、毎日が地獄だった。
寝てる隙に殺されそうになる。
起きていても、邪魔者扱いされる。
親達の魂胆はお見通しだ。
俺を殺して次の子供を作りたいんだ。
簡単に死んでやるのも嫌で、それなりに抵抗していた。
そんな事をしてから、3年が過ぎた。
小さいころに覚えた念は、攻撃として立派に役に立つものとなっていた。
家族との攻防にも念を使っていた。
そんなある日、俺はある声を聞いた。
その声に導かれるまま、進んだ。
足を止めた先にあったのは、大きな黒い鉄の扉だった。
扉には幾重にも封印が掛けてあって、破るのはまずムリだろう。
『来たか、の血を引くものよ。』
「あんたは?」
門の向こう側から、低く地を這うような声が聞こえた
『私は、この扉の地獄側の門番ケルベロスだ。』
「その門番が、俺に何の用?」
『クックック、怖いもの知らずも初代の血か。』
「・・・へえ、初代を知ってるんだ。」
『当然だ。あやつが私をここの門番にさせたのだからな。』
「で、何の用?」
『娘よ、お前こそこの門番に相応しい。一家を殺せ。して、この門をお前が守るのだ。』
家族を、殺す。
そうすれば確かに自由になれる。
しかし、幾ら門番といっても地獄側だ。
そんな奴の声を聞いても良いことがある訳でもないし。
丁重に断ることにしたんだが、
『娘、お前はの血の由縁を知っているか?』
血の由縁なんて考えたこともなかった。
しかし、なぜ俺のこの血が危険とされるのか、
どうして門番なのか、考えてしまえば切がなかった。
「しらん、教えろ。」
『お前ら、一家は元は地獄の住人だ。して、私の主だった。』
お前の中にも、悪魔としての血が流れている。
もちろん、お前の父親も祖父も代々ずっとだ。
だから、男しか生まれなかった。
人間との交わりでは、男しか生まれないのだ。
そして、子供は一人だけとされているのは
悪魔の血を世界へ広げないためだ。
その中でも、お前はその血が濃いと見える。
その血のせいで、辛い思いをしてきたのではないか?
女というだけで、殺されかけたのではないか?
女は、子を産む。
父親が悪魔であっても、母親の胎内である程度浄化される。
しかし、母親が悪魔であれば別だ。
人間の父親であっても、母親の体内で悪魔の血によって固められる。
純粋とはいかずとも、それに近いものが出来上がるのだ。
だから禁忌とされる。
お前の母親は、純粋な人間のはずなんだがな。
お前はどういうわけか、悪魔により近い血を持ってしまったようだ。
だから、お前は殺されるのだ。
純粋な悪魔を作らないために、悪魔を人間界に放たぬように。
普通の人間が夜中に目が光るか?
それは悪魔の血の流れている証拠。
人間ではないものが人間界をうろつかぬよう、
魔の血を持たぬものが誤って入ったりせぬよう守るのが一家の役目。
しかし、お前の親共は馬鹿か。
そんなことも忘れ、聖人のように見ているではないか。
自分に悪魔の血が流れていることを忘れているのだ。
お前を殺そうとするのは、掟だから。
そうとしか考えていないのだ。
迷う必要などない。
ここの主はお前だ。
迷わずに殺せ。
私はお前に従おう。
私の新たな主はお前だ。
唖然とする内容を一気に聞かせられ、頭が混乱した。
だが、この体には悪魔の血が流れていることは把握できた。
しばらく悩んだが、決心した。
俺は今から、家族を
殺します
それから、3時間後俺は屋敷から姿をけした。
血の痕と俺の涙を残して・・・・・。