The scar which doesn’t go out.
草木も眠る丑三つ時、足元には砂の国の暗部であろう者達が肉魁とかって転がっていた。その中でただ一人だけ立ち上がった者が居た。
「何処だ!出てきてオレと戦え!今度こそ殺してやる!!」
その男は、手にはクナイを握り気配を探ろうと神経を研ぎ澄ました。
「良いけど、あんた如きにオレは殺せない。」
そう言って後ろの大木から降りてきたのは、木の葉の暗部であった。
頭からフードを被っていて顔には狐面。
声や雰囲気からでは、二十代前半といったところか。
「ああああああ!!!!!」
男がクナイを勢いよく木の葉の暗部へと投げてきた。
ブシュ!
肉を切り裂くような音がし、木の葉の暗部は地面へと倒れ込んだ。
(殺ったか!)
「だから、あんた如きに殺られないって。」
「何!」
確かに殺したと思った相手は、無傷でご健在。しかも、自分の後ろに居る。
クナイを投げた方を見てみれば、同じ砂の忍びに幾つものクナイが刺さっていた。
「貴様!何者だ!!ただの暗部ではないな!」
「ただの暗部だって。」
そう言いながら、顔に手を当て面とフードを一気に取り外した。
外した面とフードの中から出てきたのは、神々しいまでの金糸に透きとおるような白い肌ゆっくりと開けた目は、吸い込まれそうなほどの蒼色。
男は、一瞬見惚れたもののすぐに気を建て直し見覚えのある顔を凝視した。
思い出したのか、男の顔は蒼白になっていた。
「こ、木の葉のば!・・・・・・」
男は言い終わる前に、血飛沫を上げて地面へと吸い込まれて行った。
「誰が化け物だよ。」
そう一言、言い残し木の葉の忍びは姿を消した。
木の葉隠れの里、そこの中央に聳え立つ大きな建物の一室で
「火影」と呼ばれるこの里の最高権力者がある者の帰りを待っていた。
「・・・・来たか・・・・」
ぼそっと一言つぶやくとまもなく、一人の暗部が姿を現した。
「暗部、翡翠 ただいま帰りました。」
「ご苦労、今回も上手く行ったようだな。」
「は、恐れ入ります。」
「それと、元の姿に戻ったらどうだい?」
ああ、コレかと自分の手を見てうなずいた。
ボフン、と音と煙を立てその中から出てきたのは小さな子供だった。
コレでどう?と目で訴えて、
「そのほうがしっくりくるね。ナルト。」
と火影様はご満悦だ。
背中の方になにやらナルト自信が術をかけていた。
不思議に思ったものの気にしないことにした。
「明日から一週間の休みを入れておいた。ゆっくりと休むといい。」
どうも、と軽く会釈をして火影を見た。
「ああ、報告書は明日でいい。」
「御意。」
短く返事をし、煙と共に姿を消した。
(ああ、やっと寝れるぜ。ったく、下忍の任務まで時間ねぇじゃん!)
など、心の中で毒づいて自宅への足を急いだ。
(げ!やば!)
ナルトは自宅へと近づくにつれて、ある人物の気配が濃くなっていることに気づいて
足を止めた。
(たっく、なぁんでこんな時にカカシの野郎がいやがんだよ!!!)
コレでは、流石のナルトも逃げざるをえない。
(あ~あ!寝らんねぇじゃんか!)
そう思いながら、死の森へ足を向けた。
部屋には影分身を残してきたため、ばれる事はまずありえない。
今までもこうしてダミーを置いていって、
ナルト本人は暗部の仕事をしていたこともある。
本来ならば、ばれないように家に入って分身を消して寝るのだが、
今回は五連続徹夜の任務のあとで、いくら木の葉最強の忍びでもコレはきつかった。
(しょうがない、木の上で寝るか)
死の森の中へ入る事自体おかしいのだが、この際そんな事は言ってられない。
ナルトは、中央付近にある大きな太い木を寝床に決めた。
(あと、三時間は寝れるか・・)
ナルトは疲れからか、すぐに眠りに落ちた。
薄っすらと夜が明けはじめた頃、ナルトは目を覚ました。
(結構寝れたな。さて、カカシもそろそろ帰ったろ。オレも帰ろ。)
そうして、森を後にした。
やっと、家の中に入る事が出来たナルトは
影分身を消し、昨日使ったクナイを下ろし風呂場へと向かった。
昨晩眠ったおかげでほとんどの傷は消えた。
だが、背中にはまだ大きな傷が残っていた。
ナルトでなければ、間違いなく死んでいたであろうそれは、暫く消えない痕となった。
傷を何かが触れれば、息が出来なくなるほど痛む。
だが、ナルトはそれを顔には出さない。
いや、出せないのだ。
いかにも此処が痛いんです。と其処をかばったら、暗部ではやっていけない。
四歳の頃から暗部にいる。
もう、習慣として体が覚えているのだ。
(カカシの奴、気づかねぇだろうな。)
ばれるのは困る。
「下忍、うずまきナルト」が存在しなくなるから。
暗部の時に受けた傷は、ナルトの傷ではない。
木の葉の暗部「翡翠」が受けた傷である。
これからの時間活動するのは「下忍ナルト」である。
「翡翠」ではない。
此処で時間を喰ってもしょうがない。
とりあえず、帰ってきてから悩む事にした。