俺は、この人に大切なことを教わった。
けど、俺は悲しませてばかりだ・・・・・・・。
ごめんね。
このごろ、俺のチャクラを喰って九尾が力をつけてきた。
先生に相談しようか・・・・・・
だめだ、これ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
いざとなったら、九尾を道ずれに自害できる。
それにまだ、俺の力で抑えることができる。
でも、そろそろ限界みたい。
今日の任務は指輪探し。
サクラちゃんとペアになった。
ちょっとほっとした。
先生やサスケだと、感がいいから具合が悪いことを悟られちゃう。
開始30分目が霞んできた、足もふらふらする、ちょっとヤバメかも。
45分には、ほとんど意識はなく本能で立っているようなものだった。
それから5分後俺は、完全に意識を手放した。
気がついたら、ベッドで寝ていた。
ここが火影室奥の部屋だと気づいたのは、暫くしてからだった。
横に誰かいる。
そ~っと目を開けてみれば、サスケとサクラちゃんが噛み付きそうな勢いで
俺の名前を呼んだ。
「「ナルト!!!」」
「私、先生たち呼んでくる!」
サクラちゃんが部屋から出て行った。
「なあサスケ、俺どうしてここにいるんだってば?」
「お前倒れたんだよ。それでカカシがここまで運んできた。」
そうか、先生が運んでくれたんだ。
また迷惑かけちゃったんだ。
腹の印も見られちゃったんだろうな・・・・・・どうしよう・・・・・・
サクラちゃんが、ばあちゃんと部屋に入ってきた。
「ナルト、大丈夫かい?」
すごく心配そうな顔で聞いてきたから、
平気だって言って、笑った。
本当は、全然平気じゃないんだよね。
カカシ先生が、部屋に入ってきた。
先生、泣いた跡残ってるよ?
俺、人のカンジョウに敏感だからよく見えるってばよ。
でも、笑わなきゃ
気づかないフリをしなきゃ・・・・
「あ!先生、先生が運んでくれたんだってね。
ありがとうってば。」
今、うまく笑えたかな?
カカシ先生が、複雑な顔をした。
やっぱり、うまく笑えてなかったんだね。
先生が、大丈夫?って聞いてくれたとき、
九尾の事を言おうとしたけど、やめた。
もう、長くないことはわかってる。
けれど、先生に殺してなんて言えない。
先生は、俺を連れて抜け忍になろうとするから。
俺は、先生に幸せになってもらいたいから、言わない。
ばあちゃんが、診察するからと皆を追い出した。
そして、なんか言おうと口を開いたが俺がさえぎった。
「これ九尾のせいだろ?俺のチャクラを食って力をつけてきたのが
わかる。だから・・・・殺して?
今ならまだ、俺の力で抑えることができるから。
また、里を襲わせたくないんだ。」
ばあちゃんは、俺の目をひたと見据えた。
覚悟を伺っているらしい。
それから深くうなずいた。
けれど、ばあちゃんの目からは大粒の涙がこぼれた。
俺を抱きしめて、何回も、何回も謝った。
謝らないでよ。俺のほうが謝らなきゃいけないのに・・・・
皆を悲しませてばかりで、迷惑かけてばっかりで、俺のほうが謝らなきゃいけないのに!!!
そう思ったら、目頭が熱くなった。
視界もかすんできて、ばあちゃんにしがみついて
思いっきり泣いた。
思いっきり泣いたら、すっきりした。
それから、ばあちゃんが俺の父親の話をしてくれた。
そして、死んでも一人にはならないと言ってくれた。
あっちには、父さんも、母さんも、火影の爺ちゃんも皆いるって。
数日後、死刑の執行日が決まった。
10月10日、慰霊祭で俺の誕生日・・・そして里が襲われ、親父が死んだ日。
俺にはお似合いの日なのかも知れない。
けれど、先生は怒るだろうな・・・・・・・・。
案の定、その日の夕方殴りこみに行ったそうだ。
術をかけたから、後2日は起きないって。
そのほうが良いかも知れない。
もし、先生が乱入してきたら、俺、死に損なっちゃうから。
明日、俺は死刑になる。
けれど、気持ちは、妙に穏やかだ。
覚悟を決めて死ぬからかな・・・・・・
けれど、その穏やかな気持ちの中に少し陰りが見える。
カカシ先生の事だ。
先生には、迷惑かけっぱなしだった。
それに、今回は泣かせちゃった。
ごめんね先生。
俺が死んだら、先生泣いちゃうかな?
それとも、笑ってくれる?
どっちにしろ、離れ離れになっちゃうんだよね。
最後に、恋人の顔を見て死ねたらどんなに幸せか。
我侭なのはわかってる。
でも、一回思ってしまった感情はとめられない。
先生、会いたいよ・・・・・。
朝起きたら、暗部の兄ちゃんたちが三人
ドアの前に立っていた。
その後ろに、女中さんらしき人が
木の葉の死に装束「白衣(しらごろも)」を持っていた。
俺はそれに着替えて、ばあちゃんの所へ向かった。
中に入ったら、ばあちゃんが疲れた顔で待ていた。
「短い間だったけどありがとうございましたってば。
ばあちゃんが、俺を認めてくれたこと死んでも忘れない。
本当に、ありがとう・・・・・それと、ごめんね。」
ばあちゃんが、俺のことをしっかりと抱きしめてくれた。
「何でお前が謝るんだ!!謝る・・・・しつよ・・・う・・・・・なんて・・・・」
涙でうまく言葉がつなげないみたい。
俺のために泣いてくれる。
嬉しい・・・・・・・・ごめんね。
「ばあちゃん、最後にお願いがあるんだってば。
カカシ先生に手紙、書いたから先生の部屋の洋服箪笥の上から三番目の
所に入れてほしいってば。」
力強く頷いてくれた。
「火影さま、そろそろお時間です。」
暗部の一人が声をかけてきた。
「それじゃあ、もう行くね。」
そう言って、離れた。
去り際に手を振ったが、振替してくれなかった。
その代わり、手で顔を覆いその場に崩れた。
ドアを閉めて、数歩歩いたら
ばあちゃんの泣き声が聞こえた。
本当にありがとう。ごめんね・・・・本当にごめん。
暗部の兄ちゃんに抱きかかえられて、死刑場へ向かった。
そこには、数人の暗部と里の権力者たちが集まっていた。
なんか変だけど、こんなにたくさんの人の中で死ねるんだって嬉しかった。
早速儀式が始まった。
俺の周りを暗部が取り巻いて、その後ろに爺ちゃんや婆ちゃんたちがいる。
多分、直接俺を殺すのはこの爺ちゃんや婆ちゃんだ。
複雑な印が、目にも止まらぬ速さで組まれていく。
でも、周りの感じからしても後15分はかかりそうだ。
やっとのことで、暗部たちの印が終わった。
この様子だと、もう少しで俺は死ぬことになる。
ああ、やっと楽になれるんだと思ったら
ふと馴染んだ気配が近づいてきた。
カカシ先生だった。
先生が来てくれた。
もう、絶対に会うことはできないと思ってた人に会うことができる。
そのことが嬉しかった。
先生の顔が見えた!
と同時に、印が組み終わった。
先生が、俺の名前を叫んでいるのがわかった。
けれど先生、ここにはどうやっても入れないし、
俺も出て行く訳にはいかない。
ごめんね。
最後くらい近くに居たかった。
先生のそばで死ねたらって考えた。
けど、無理だったんだ。
勝手に全部決めて ゴ メ ン ナ サ イ。
死刑を選んだ俺を、許してとは言わない。
憎んでも良いから、俺のこと思い出して。
そうすれば、俺は思い残すことはなくなるから。
最後まで我侭言ってごめんなさい。
無数の光が、俺目掛けて四方から飛んできた。
もう、これで最後なんだ。
最後に、先生に会えたこと嬉しかった。
死んでも忘れないよ。
先生に向かって、ありがとうを込めて
笑ったら、先生呆気に採られてた。
こんな時まで笑ってるから、呆れられたかな?
それでも良い、先生ありがとう。
本当にありがとう。
幸せになってね。
先生、愛してる・・・・・・・・・・・。
痛みは無かった。
何かに包まれるような感覚だった。
でも、瞼が重くなってきて
俺は最後の時を迎えた。
うずまき ナルト 享年13歳
短いけど、幸せだった人生に終止符を打った。
10月10日の出来事だった。